旅の記録

「止まっている球にすらうまく当てられない」について

バンコクに来てからハマった趣味の一つに「ビリヤード」がある。

ビリヤードは、台の上にある白球(手球)を”キュー”と呼ばれる棒で撞き、それを的玉に当てて6箇所の穴に入れていくスポーツで、バンコクに来てから始めて、ドはまりした。

やったことがある人ならわかると思うが、ビリヤードは意外と難しい。

ビリヤードでやることは、”置いてある手球にキューを当てるだけ”なのだが、最初は空振りしたり、球が思ったような方向に行かなかったりと、慣れるまでに時間がかかる。

ほとんどの人が、「なんとか球の動きをコントロールしたい」と思い手球を撞くのだが、全然思うようにいかない。

止まっている球なのにもかかわらず、全然うまく当てられないのだ。

これはゴルフでも同じことが言える。

ゴルフボールは自分の目の前にあり、まったく動いていないにもかかわらず、空振りし、当たっても思っていた方向に飛ばない。

ゴルフをやったことがある人なら皆想像に難くないと思う。

反対に、野球などはピッチャーが投げる球をバッターが狙って打つ。つまり、ビリヤードやゴルフと違い、”動いている球”となる。

”動いている球”となると、どんなにスキルを上げても空振りすることがある。

これらのことを踏まえた上で、以前ビリヤードバーでいっしょにお酒を飲み交わした外国のおじさんが酒に酔っておもしろいことを言っていた。

「止まっている球すらロクに操れない!人間万歳!フハハハハ!!」

「あ、この人やばい人かな〜」がおじさんの第一印象だったが、よく考えてみると、たしかに人間は簡単そうに見える事がなかなかできなかったりするなぁと思った。

「思ったことと体の動き、思った通りにならないから人生はやめられない!フハハハハは!!」

酔っ払って謎な人生論を語り始めたおじさん。

機嫌がよくウィスキーおごってくれて、いろいろお話してくれた人生論はさておき、その日はなんとなく、ぼんやりと人間の持つ能力について考えた日だった。

よく考えたら、自分は最初「止まっている球すらもうまく操れない程度の能力」なのだ。

もちろん練習してうまくコントロールできるようにはなれるとは思うが、何事においても、最初の自分はとても未熟で思っていた通りにならないことがほとんどだ。

自らを不完全で未熟なものであることを念頭において、人生の様々な事に当たる。

酔っ払いおじさんとビリヤードから教えてもらった人生の教訓であった。

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Author - Taishi Suzuki
バンコク在住5年目/WEB屋/旅ブログ「BE AMBITIOUS」を運営しています。Japanese travel blogger / I'm based in Bangkok and regularly travel throughout the region.